海の豆知識Vol.73  

県の魚-その5-
---東海・北陸編①---

 県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半数以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあります。
 ここでは「県の魚」※にまつわるお話しをしましょう。今回は、東海・北陸地方です。

※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。

福井県「越前がに」
イラスト:メガネをかけた越前がに。背景に恐竜博物館とティラノサウルス。 北陸3県の最西部に位置し、直線的な隆起海岸の嶺北地方と典型的なリアス式海岸の嶺南地方からなる福井県。この県の魚は越前がにです。
 越前がには、オホーツク海、ベーリング海、犬吠埼以北の北太平洋や日本海の深海に生息する十脚目ケセンガニ科に属するカニで、標準和名をズワイガニ(学名:Chionoecetes opilio)と言います。福井県から西側、京都府~島根県では松葉がにとも呼ばれています。「越前がに」との呼び名は古く、室町時代にまでさかのぼり、京の都に住んでいた公家の日記に記載があるそうです。その当時から越前の国(福井県)では、すでにズワイガニが水揚げされていたことがわかります。一方、標準和名となっている「ズワイガニ」との呼び名は、200年ほど遅れて江戸時代中期になってから、初めて登場するそうです。
 福井県ホームページによると、荒々しい日本海でつちかわれ、福井の味として広く定着しており、冬の味覚の王者として親しまれていることから、平成元年3月に県の魚に選ばれました。元々、地元での愛称であった「越前がに」ですが、日本で初めて産地タグの取り付けを行うなど、今では国内有数のブランド水産物として、その名を轟かせています。

福井県公式ホームページ〉…〉福井県のシンボル
 http://www.pref.fukui.jp/doc/about/symbol.html

イラスト:鈴鹿サーキットでF1レースを楽しむ伊勢えび。三重県「伊勢えび」
 東海地方の最西部、紀伊半島の東側に位置し、伊勢湾と熊野灘に面した三重県。江戸時代からお伊勢参りで有名な伊勢神宮を擁するこの県の魚は、伊勢えび(イセエビ、学名:Panulirus japonicus)です。
 イセエビは、房総半島以南から台湾にかけての西太平洋沿岸の浅い岩礁域に生息する十脚目イセエビ科に属する大型のエビです。古くから食用とされており、伊勢地方で多く獲られていたことから、室町時代にはすでに「伊勢えび」と呼ばれていた記録があるそうです。また、磯に生息するエビであることから、「イソエビ」が変化したとの説もあります。
 姿形が雄渾(力強く、勢いがあって雄大なこと)で、茹でると真っ赤になるさまや「威勢がいい」を意味する語呂合わせから、縁起物として正月飾りやおせち料理に用いられるほか、新年を表わす季語としても「伊勢えび」が用いられています。
 三重県ホームページによると、名前のとおり、古くから伊勢志摩(三重)を代表する魚介類であることから、平成2年11月に県の魚に選ばれました。三重県水産研究所では、昭和63年に世界で初めてイセエビ幼生の完全飼育を達成させるなど、イセエビの栽培漁業実現に向けて、現在も稚エビ大量飼育技術の確立を目指した研究が続けられています。

三重県公式ホームページ〉…〉三重のシンボル
 http://www.pref.mie.lg.jp/KOHO/HP/84175022632.htm

注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。

ご迷惑をおかけします(1)ミズクラゲ

 クラゲ等の大量流入やイガイ類、フジツボ類等の付着によって、曳網や定置網などの漁網が損傷したり、発電所の冷却水取水経路が目詰まりや狭窄をし、運転停止等の事態に陥る場合があります。これら、不本意ながらご迷惑をおかけしております海生生物たちについて、ご紹介します。今回はミズクラゲです。
 ミズクラゲ(Aurelia aurita)は、日本沿岸でもっとも普通に見られるクラゲで、直径15~30cm程度の半月型の傘の裏側には、中央に太くて短い4本の口腕がついています。しかし、皆さんがイメージするこの姿とは別の顔も持っています。
 漁業や発電所で問題を引き起こすのは、上記のような「成体クラゲ」ですが、その元となっているのが、「ポリプ」といわれる大きさ数mmのイソギンチャクのような形のものです(下図参照)。ポリプは、静穏域にある浮桟橋などの構造物の裏面に好んで付着し生活しています。好条件が続けば、無性生殖(自己分裂)で数を増やしていきます。しかし、一般に水温が10℃程度下がると、体が細長く伸び、赤く色づき、数枚から十数枚のお皿を重ねたような「ストロビラ」になります。そして、そのお皿一枚一枚がストロビラから遊離し、「エフィラ」になり、皆さんがご存じのクラゲに成長するのです。

(中央研究所 海洋環境グループ 山田 裕)

図 ミズクラゲの生活史

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