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イラスト:紅葉と満月を背景にカマスと秋の虫

魚のことわざ−その35−

−−−スルメイカ−−−
 海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
 今回は、平成13年3月発行の海の豆知識7号(こちらを参照)に続き、スルメイカ(ツツイカ目アカイカ科スルメイカ属、地方名:マイカ(北海道)、マツイカ(長崎、福岡)、学名:Todarodes pacificus、英名:Japanese common squid, Pacific flying squid)をご紹介します。
 名前の由来については、「するめ」に用いるイカ類の中で最も多く使われていたからという説と、イカ、タコなどを墨を吐く群、「墨群」と呼んでいたところから転じたという説があります。
 スルメイカは、千島列島周辺から朝鮮半島、東シナ海に生息し、日本の沿岸各地で夏季を中心に広く漁獲されています。外套膜は円錐形で、後方に細く尖っていて、正方形に近い菱型のひれは外套膜の後部に位置し、目は開眼型、軟甲は細長く、10本ある腕(足?)の吸盤は2列で、外套長は最大35cmにも達します。生息に最適な水温は15℃前後ですが、昼間は水深50m以深(水温が低い)に、夜間は表面付近(水温が高い)にいます。
 スルメイカの寿命は約1年ですが、生まれた季節によって育つ場所が変わり、秋季発生系群(主に10月〜12月生まれ)は山陰から対馬海峡で生まれて、対馬暖流によって日本海に向かい、冬季発生系群(主に1月〜3月生まれ)は東シナ海で生まれて、黒潮によって太平洋に向かいます。主にオキアミやヨコエビ類の浮遊性の甲殻類、ハダカイワシ類やイワシ類などの小型魚類を食べます。
 日本の家庭で消費される水産物の中では、イカの消費量が最上位で、2007年の年間一人当たり平均消費量は、1,007g(総務省調査)にもなります。
 新鮮なものは、イカ刺しやイカソーメンなど刺身をわさび醤油、生姜醤油、ポン酢などで食べたり、塩辛にされます。また醤油をつけた姿焼、胴を開いて鹿子に包丁を入れた照り焼きにしてもよく、胴は輪切りにして天ぷらや唐揚げ、フライにされ、里芋と一緒に煮るとイカが軟らかくできあがります。中華風料理では、スープの具、温菜、八宝菜、五目炒め、酢豚などのほか煮物、揚げ物にされます。洋風でも、ゆでてサラダやオードブルに使ったり、スパゲッテイーやパエリア、ピザの具にしたり、ほかの魚介類と一緒にブイヤベースにされます。

カマス一尾、底に千尾
 イカの甲(イカフネと呼ばれる体壁内にある石灰質の甲殻=水晶棒)は、なんの役にも立たないが、経験を積んだ年寄の体験は貴重。その言葉を軽んじてはいけないの意。ただし、スルメイカはたった一年と短命。「亀の甲より年の劫」、「蟹の甲より年の劫」と同じ意。劫とは非常に長い時間のこと。よく見かける「年の功」は誤り。「劫」でなければ意味がない。

カマスは干物に限る
 新鮮なイカには透明感があり、胴の方に黒褐色の小さな斑点が密集していて、黒く艶やかに見える。指先で弾いたとき、斑点が明滅するようなら生活反応があり、イキがよい証拠。イカの鮮度判別法の一つ。

霜降りカマス
イラスト:カマスの干物に大きく盛られたごはん 下足(ゲソク)の略。鮨屋言葉でイカの足のことをいう。もともとは、芝居小屋・寄席の下足(脱いだ履物)のことで、足の隠語に使われた言葉。下足番が下足を整理するのに十足ずつまとめたため、イカの足の十本にからんで鮨屋に飛び火し、イカの足を代弁する語になった。一方、カクゲソは下駄のこと。また、親分のこともゲソ。子分は親分に下駄を預けることからの転。そういう世界から抜け出すとき“足を洗う”という。

二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。

調査航海こぼれ話(発光するプランクトン)

 下北半島沖、水深1000mから採取した海水を濾過した後、濾紙を二つ折りに畳むと、パッと青白い光が放たれました。
 注意深く観察すると、2mm程度の大きさのメトリディア・パシフィカと呼ばれるカイアシ類のプランクトンで、潰されそうになると青白く光ります。
 親潮の影響が色濃い道南海域によく認められ、春に海面近くで産卵増殖し、夏〜冬を水温3℃程度、酸素濃度は海面の1/6以下の深層で過ごすといったダイナミックな移動を伴う生活史を繰り返すことが明らかにされつつありますが、通常ならば見逃していたであろう小さなプランクトンの存在を知らせてくれた、青い光でした。

(年間約3カ月にわたる海水、海底土採取航海※の日誌から)
※海生研は毎年、日本全国の原子力施設の沖合において環境調査を継続しています。

オニオコゼの写真

船上にて確認した
発光プランクトン
 
実験室での顕微鏡画像
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