海の豆知識Vol.35  

イラスト:カワハギと里山の菖蒲田

魚のことわざ-その33-

---カワハギ---
 海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
 今回のテーマはカワハギ(フグ目カワハギ科カワハギ属、和名:皮剥、英名:Thread-sail filefish、学名:Stephanolepis cirrhifer)です。
 全長は最大で30cmほど、スリムで体高のある菱形に近い楕円形の体型で、口は小さく、ペンチのような頑丈な歯を持っています。
 食性は肉食傾向の雑食性で、多毛類、フジツボ類、カニ・アミ類、貝類のほか、紅藻類などの海藻も食べます。尖った口から水を勢いよく吹き出し、砂に隠れている甲殻類などを捕食するほか、漁師の嫌われ者として最近話題のエチゼンクラゲを食べることでも知られています。
 エチゼンクラゲの毒にも強く、全身が厚いざらざらした皮におおわれていますが、この皮は料理の時にすぐに剥がせることが和名の由来となっており、見事な剥げっぷりに略してハゲともいい、身ぐるみ剥がされるのでバクチウオとも呼ばれます。
 名前や見掛けに反し、身は脂肪が少なく歯ごたえがある白身で味は良く、刺身にする際は薄造りにされ、ちり鍋でも賞味されますが、夏が旬です。肝臓(肝・キモ)はアンコウや「その味死に値す」とも言われるフグと並んで美味であり、「通」を自称して河豚(フグ)の肝を食べたがる客でも見分けられないことがあることから、心得のある店では、「河豚の肝」と称して「皮剥の肝」を出す(?)ともいわれます。

イラスト:カワハギがプロペラ付きの帽子をかぶってホバリングしながら餌を獲ろうとしている皮剥の居食い
 皮剥は、ヘリコプターのホーバリングのように、水中に停止した状態で上手に餌を食う。しかも歯が鋭いから糸までも噛み切ってしまい、魚信(アタリ)を与えない。皮剥は餌盗りの名魚。釣り人は躍起になって釣ろう、釣ってやろうと皮剥の術中にはまっている。まあ、「釣ったり釣られたり」が世の常、このくらいが丁度いい。

一度はかかる皮剥病
 皮剥釣りの妙味をいう。皮剥は餌盗りの名魚。しかも口が小さく合わせ方にコツが要る。その面白さと難しさの虜になって熱中し、皮剥に遊ばれてしまう。皮剥に限らず釣りは熱病のようなもので、大同小異。

二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。

飼育生物こぼれ話(3)カタクチイワシ

 私たち飼育員はさまざまな飼育生物の産卵を見てきました。みなさんは魚の種類によって産卵する時間に違いがあるのをご存知ですか。キュウセンベラは真昼に、マダイは夕方から日没に、シロギスは日没直後に産卵することが多いようです。
 試験のため、沿岸から沖合までの広い範囲に住み、表層を泳ぎまわる魚の代表としてカタクチイワシが選ばれました。孵化後1年未満で成熟し、寿命は2年程度と言われる「早熟な魚」です。カタクチイワシは深夜に産卵することが多いようです。飼育員は受精直後の卵を採集するために眠気と闘い、研究員は卵を使った実験を深夜開始するために寝不足になってしまいました。

(実証試験場 応用生態グループ 飼育チーム 箕輪・佐藤)

カタクチイワシの受精卵
(長径1.2mm)
  ふ化仔魚(ふ化直後、全長2.6mm)

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