海の豆知識Vol.41  

イラスト:落ち葉焚きで焼き芋を焼くカツオ

魚のことわざ-その39-

---カツオ---
 海とその生物にまつわる諺や格言についてお話ししましょう。
 今回は、平成12年6月発行の海の豆知識4号(こちらを参照)に続き、カツオ(スズキ目サバ科カツオ属、和名:鰹、英名:Skipjack tuna、学名:Katsuwonus pelamis)をご紹介します。
 カツオは、19℃~23℃程度の温かい外洋に世界的に広く分布しますが、日本近海では太平洋側に多く、初夏の「初鰹」は黒潮に沿って三陸地方の金華山沖辺りまで北上し、秋には「戻り鰹」として南下してくるという季節的な回遊をする大型肉食魚で、大きなものは体長1m・体重18kgにもなりますが、50cm程が漁獲の中心です。
 漁れる時期により脂ののりが異なりますが、それぞれの季節ごとに美味しく食べられる魚で、刺身やたたき等で食べられる他、鰹節の原料でもあり、日本の食文化を代表する魚でもあります。
 江戸時代にはさっぱりした味の「初鰹」が特に珍重されて非常な高値が付けられ、「女房子供を質に出してでも食え」とまで言われましたが、最近では脂の乗った「戻り鰹」が好まれる傾向にあります。

鰹日和
 鉛色の雲が厚く垂れ込め、北風三メートルほどの日が絶好の「鰹日和」。「鯖日和」ともいう〈相模湾地方の言葉〉。「鰊曇り」も同じような日和。「鯊釣り日和」は、大阪で九月の晴れた日をいう。

鰹節と砥石の借入れはない
イラスト:巻紙と頭と頭を合わせて「ボクたち似たもの同士だね」といった様子 「鰹節と巻紙はかくほど減る」。どちらも使えば減るものだから借りるな、貸すなの教え。「女房貸しても擂粉木貸すな」ともいう。一方、「本貸す馬鹿に済す(返す)阿呆」と、私的に本は貸すものではないらしい。

鰹は刺身、刺身は鰹
 カツオは生(刺身)で食べるのが一番旨く、刺身の魚(材料)もカツオが一番ということ。だが、これは江戸(関東)の話で、京(関西)では「刺身は鯉に限る」ようである。京ではコイの刺身を単に「刺身」と呼び、他は「鯛の刺身」「鰹の刺身」と刺身の前に魚の名前を冠していったというが、まだその名残りがあるのだろうか。
 また、鮟鱇の肝、鯔の臍と「旨いもの」として、“通”に喜ばれるものがあるが、「鰹の臍」はカツオの心臓のことで、塩焼き・味噌煮に美味という。

二階堂清風編著「釣りと魚のことわざ辞典」東京堂出版より転載。

調査航海こぼれ話(深海からの珍客)

 2004年4月茨城県沖の洋上、巨大な採水器を用いて深海の海水を採取する作業を順調にこなし、その日最後に揚収したのは深度1,250mの海水でした。程なく、クルーから不思議な物体を渡されました。一見、透明なビニール紐の様。
 海水を満たした器に移すと、くねくねと体をくねらせ鰭を波状に動かし体を器用に前後退させるなど、活発な動きを披露します。大人の人差し指程の胴回りに60cmはありそうな細長い姿。何より、互いに反り返りかみ合う事の無さそうな長いくちばしが特徴的です。正体はシギウナギでした。
 水深300~2,000mの中層で漂泳生活を送る深海魚で、岩手県などでは水深20m程の定置網に掛かった例もあるとの事。深海から帰還した採水器にたまたま乗ってきた珍客さん。採水器は時折、深海とのこんなご縁を結んでくれるのです。

(中央研究所 海洋生物グループ 稲富 直彦)
(年間約3カ月にわたる海水、海底土採取航海※の日誌から)
※海生研は毎年、日本全国の原子力施設の沖合において環境調査を継続しています。

シギウナギの頭  
シギウナギの全身
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