タイトル:6.海洋環境放射能の調査

 全国の原子力発電所の周辺海域や核燃料サイクル施設沖合海域における漁場環境の安全性を見守るため、海生生物、海底土、海水の放射能調査などを行い、国が実施する海洋環境放射能総合評価の基礎資料をとりまとめています。

■ 海洋放射能調査

 調査結果の一例として原子力発電所等周辺15海域の海水(表層水)のストロンチウム-90とセシウム-137の濃度範囲を示します。ストロンチウム-90濃度は、昭和58年度以降ゆるやかな減少傾向で推移しています。セシウム-137濃度は昭和61年度試料の一部に昭和60年度に比べ高い値を示したものがありましたが、これはチェルノブイリ原子力発電所事故の影響と考えられます。一方、海底土及び海産生物のセシウム-137濃度は、海水のセシウム-137濃度の減少傾向を反映して、漸減傾向を示しています。

写真:箱に入れられた魚の試料、海底土をすくい上げる大きなショベル、海水を採取したタンクを船上のクレーンで持ち上げています
  海産生物試料  海底土の採取状況 海水の採取状況

グラフ:縦軸に放射能濃度、横軸に試料採取年度(昭和58年から平成19年)を配した棒グラフです
原子力発電所等周辺15海域の(表面水)の調査結果

■ 支援調査

 海洋放射能調査では、海域間、生物種間で放射能濃度に差のみられることがあります。この差が生じた原因や機構を解明するために、海域間、生物種間での生物の食性や成長にともなう放射能レベルの違いを明らかにする支援調査を行っています。
 調査結果の一例として、魚類の胃内容物組成に基づいた食性と可食部のセシウム-137の濃縮係数*の関係を示します。同じ魚類でも、食性がより高次な魚食性となるにつれ、濃縮係数は高くなります。

*濃縮係数とは、海水中の放射性核種濃度に対する生物中の放射性核種濃度の比(生物中の放射能濃度を海水中の放射能濃度で割った値)です。生物中の放射能濃度は海水中の放射能濃度の違いによっても影響されます。



グラフ:縦軸にセシウム-137の濃縮係数値、横軸に魚類の魚食性の多加を表しています
食性の違いによる放射能濃度の違い