タイトル:5.環境保全・調和に関する技術開発

 温排水には魚を集める効果や魚介類の成長促進効果のほか、立地条件によっては取放水により周辺海域の海水の交換が促進されたり、防波堤などの構造物に生物が生息するなどの効果があることが分かってきました。発電所立地に当たってこれらの効果を積極的に活用して、取放水海域の環境保全・調和をめざした技術的な検討を行っています。

■ 取放水による海水交換促進

 海水交換の促進は、比較的小規模な内湾の方が効果が得られやすく、また、湾の内外に取放水口を分離して配置できると一層の効果が期待できます。
 右図は、湾外から取水し湾内に放水する場合の概念図です。取放水により湾外の海水が取り込まれ、湾内の水質浄化が図れます。これまでに、このような取放水による海水交換や水質改善効果を定量的に予測できる流動モデルと水質モデルを作成しました。



模式図:発電所取放水や河川の水の流れを表しています
取放水による海水交換促進の模式図


■ 海岸構造物の工夫

 取放水の利用のほか、防波堤などの構造物を工夫して生物の生息場を造るための調査研究を行っています。その一環として、北海道の磯焼け海域の海底に電気バリアをつけたコンクリート藻礁を設置し、ウニの排除とその効果について実験を行いました。その結果、電気バリアを備えた試験区では海藻を食べるウニが排除され、ホソメコンブやアナアオサなどの海藻が繁茂することがわかりました。



写真:電気バリアをつけたコンクリート藻礁に海藻が繁茂しています
電気バリアを利用したコンブ藻礁実験


■ ビオトープ・ネットワーク

 発電所立地の際の環境保全策として、発電所の建設や運転によって新たに形成される生物の生息・生育空間(ビオトープ)を周辺海域の既存の生態系の一部として機能させる(ビオトープ・ネットワーク化)ための調査研究を行っています。
 西日本の発電所前面海域で超音波小型発信機などを魚体に装着してギンガメアジの行動を追跡したところ、昼は温排水域に集まり、夜間は放水口から離れて周辺の天然礁を含む広い範囲を遊泳していることが分かりました。昼間は胃の内容物が少ないことから、夜間に餌を求めて天然礁に回遊しているものと推察されます。発電所周辺に餌場が少ない場合には、人工礁等を設置して餌場を配置することも、生物の生息生育空間を形成する上で有効と考えられます。



模式図:昼の温水域に集まる魚、夜の天然礁に集まる魚、その間に人工魚礁を配置しています
ビオトープ・ネットワーク概念図