タイトル:3.発電所と環境・海生生物(1)

 発電所取放水による環境への影響および効果について、実際の発電所前面海域での野外現場調査と中央研究所、実証試験場の生物飼育試験施設を用いた室内実験を通じて解析を行っております。また、発電所の立地が沿岸海域の生態系に及ぼす影響を予測する技術や取水障害生物防除技術の検討も行っております。

3-1 取水取り込み影響

■ 微小生物の発電所内通過影響

 発電所の取水口前面海域に分布する動・植物プランクトンや魚卵、遊泳力の小さい仔稚魚、有用無脊椎動物の幼生などの一部は、発電所内に取り込まれ復水器などの冷却水系路を海水とともに通過するうちに、水温上昇、流れの乱れ、配管壁面への接触、生物付着抑制のための塩素、付着生物による捕食などの物理的・化学的・生物的影響を受けると考えられます。
 これらの影響を解明するために、種々の室内実験や、取水口・放水口における魚卵・仔稚魚、動・植物プランクトンの生残率調査を行ってきました。また、取り込まれた量と周辺に分布する量との比較も試みました。
 その結果、生物種や発生・発育段階により水温変化や機械的刺激、塩素などに対する感受性が異なりますが、取り込まれた浮遊生物のすべてが死亡するわけではないことなどが明らかになりました。
 また、取り込み量の評価は、スケトウダラ他数種について、外海に面した発電所を対象に行いましたが、仮りに発電所内に取り込まれた個体が全て死亡するとしても、いずれもその死亡率は周辺海域における自然死亡率や漁業による減耗率より小さいと推定されました。



写真:取水口近くで採取用の網が海面下にロープで固定されています
発電所取水口での魚卵・稚仔採集

写真:鮮やかな緑色に見える珪藻類の顕微鏡写真
FDA染色した珪藻類

■ 魚の遊泳能力

 比較的大型の生物は、漂流物の流入を防ぐ除塵スクリーンなどに捕捉される可能性があります。
 遊泳能力測定装置を用いて24種の魚(体長8~17cm)について、水温を変えた時の最大持続遊泳速度(60分間完泳出来る最大流速)を測定しました。右の図は20℃の時それぞれの魚が1秒間に体長の何倍の速度で泳げるかを示しています。
 取水口での流速は数10cm/sec.程度であることが多く、比較的大型の魚類が取り込まれる可能性は低いことがわかります。



グラフ:横軸に遊泳速度、縦軸に魚種、下から速度の遅い順にトラフグ、マダイ、カワハギ、カタクチイワシ、シマアジと配してあります
水温20℃における最大持続遊泳速度
(1秒間に体長の何倍泳げるかを表しています)