海の豆知識Vol.72  

県の魚-その4-
---近畿・中国編①---

 県の花や県の鳥の様に、全国の都道府県の内、半数以上の県がシンボルとして「県の魚」を制定しています。またシンボルとしての「県の魚」とは別に、それぞれの県の特色ある複数種を選定した「旬の魚・四季の魚」を制定しているところもあります。
 ここでは「県の魚」※にまつわるお話しをしましょう。今回は、近畿・中国地方です。

※各都道府県の公式ウェブサイトにおいて、県の花や県の鳥と同様に、都道府県のシンボルとして紹介されているものを、「県の魚」としています。

奈良県「キンギョ」他
イラスト:金魚鉢とキンギョ。鉢には大仏殿と鹿2頭のミニチュアが沈んでいる。 近畿地方の中南部、紀伊半島の内陸に位置し、世界遺産である「古都奈良の文化財」をはじめ、歴史的・文化的遺産を数多く有する奈良県。海のないこの県の魚は、キンギョ、アユ、アマゴの3種です。
 このうち、キンギョ(学名:Carassius auratus auratus )はコイ目コイ科の魚類で、中国南部でフナの突然変異種(ヒブナ)から改良して生まれた観賞魚です。南北朝時代(5世紀)には既に飼育されており、北宋時代(10 世紀)には養殖も盛んにおこなわれていたようです。日本には室町時代中後期に、中国から渡来したとするのが一般的です。江戸時代中期になると、庶民の間でも飼育されるようになり、「金魚売り」や「金魚すくい」も見られるようになりました。日本各地に産地はあるものの、奈良県大和郡山市、愛知県弥富市、江戸川下流域が三大産地として知られています。
 奈良県公式ホームページによると、県民の皆さんに魚への親しみを持ってもらい、これらを育む水環境への関心を高めるため、奈良県のさかな選定委員会で県民アンケートを実施し、奈良県(大和郡山市)のイメージが強い「キンギョ」、川や自然のイメージがあり、吉野の名産として知名度の高い「アユ」、清流のイメージがあり、味の良い「アマゴ」の上位3種が、県の魚として平成24年6月に選ばれました。

奈良県公式ホームページ〉…〉県のシンボル
 http://www.pref.nara.jp/1356.htm

イラスト:青空に飛行機雲。鎌倉時代の出雲大社の想像図を配する。社殿の物陰からこちらをうかがう白うさぎ。島根県「トビウオ」
 中国地方の日本海側に位置し、出雲大社や宍道湖、世界遺産の石見銀山、また北側、日本海の沖合には隠岐諸島を
有する島根県。この県の魚はトビウオです。
 トビウオは、ダツ目トビウオ科に属する魚類の総称で、日本近海には30種程度分布しています。トビウオは、主に表層付近を遊泳していますが、マグロやシイラ等の捕食者から逃れる場合など水面から飛び出し、特徴的な大きな胸鰭を広げ、その名のとおり水面をグライダーのように滑空します。
 島根県をはじめとする日本海沿岸では、特にホソトビウオ(学名:Cypselurus hiraii )とツクシトビウオ(学名:Cypselurus heterurus doederleini )が多く漁獲されます。日本海から九州沿岸の産地では、トビウオのことを「アゴ」と呼び、生食から干物、練り製品として幅広く利用されています。
 島根県公式ホームページによると、夏を告げる魚として県内沿岸で広く漁獲され、県民になじみが深いこと、トビウオを原料としたすぐれた特産物があること、また水面を飛び出し滑空する様が飛躍・躍進をイメージさせること等々から、平成元年9月に県の魚に選ばれました。

島根県公式ホームページ〉…〉島根県のシンボル
 http://www.pref.shimane.lg.jp/admin/seisaku/koho/profile/kenshou.html

注)県のシンボルが掲載されているウェブページ(URL)は、本紙発行時のもので、予期せず変更されることがあります。

微小生物の取水取り込み影響(5)発電所内での生物捕食

 海生研では、微小生物の取水取り込み影響を調べるため、発電所の取水口、取水ピット(取水ポンプ手前)及び放水口においてプランクトンを採集し比較しました。その結果、植物・動物プランクトンの量(個体数、細胞数)が取水口に対して取水ピット、放水口の順に減少しましたが、これら減耗率は、海域や季節によって変動しました。
 減耗率は水温が高いほど大きく、また取水口からの距離が長いほど大きくなりました。さらに、放水口では付着生物の糞が採取されることから、減耗の主な原因は、発電所内の付着生物による捕食であろうと考えられます。

(事務局 研究企画調査グループ 山田 裕)

図 採取場所による植物・動物プランクトンの量の違い(中部海域秋季調査の例)

写真 放水口でみられたフジツボ類の糞(矢印)

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