タイトル:3.発電所と環境・海生生物(2)

3-2 温排水と魚類の行動

■ 魚介類の行動への影響

 魚が温排水を避けるかどうかについては、従来から関心がもたれている問題の一つです。サケ成魚の行動を追跡する調査を行った結果では、サケ成魚は表層にある温排水の下を通過し、母川に帰ることがわかりました。
 また、放水口の周辺で科学計量魚群探知機や水中ビデオカメラ、潜水などによって、どんな魚がどのように集まっているのかを調べました。その結果、周年にわたって放水口の近くに分布する種類、季節的に放水口の近くに集まる種類など、分布の特徴で類型化できることがわかりました。



写真:シロザケに発信器を付けている様子、研究員が船上でヘッドホンを使い追跡調査をしています
シロザケの追跡調査


図版:対象海域における出現魚種を、放水口近傍に蝟集するものとして、Aタイプー周年にわたって放水口近傍に蝟集、Bタイプー冬期に放水口近傍に蝟集、放水口近傍に蝟集しないものとして、Cタイプー放水口近傍に分布するが蝟集しない、Dタイプー放水口近傍に分布しない、と分類しています 写真:海面下から仰角で撮影したギンガメアジの群れ

分布の特徴から見た出現魚種の類型化

放水口に群れるギンガメアジ


■ 魚類の温度に対する反応

 前述のような魚の行動変化を予測するため、魚介類が温排水にどんな反応を示すかを各種の試験装置を用いて調べています。これまでに、30種以上の魚(未成魚や小型魚)について室内試験を行った結果、サケ、ニシンなどは14~15℃付近を、マアジ、マダイなどは24~25℃付近を、スズキ、クロダイなどは28~30℃付近を最も好むことがわかりました(この温度を最終選好温度といいます)。



写真:ガラス張りの水槽で縦方向に水温を表す目盛りがついています
垂直温度勾配試験装置
 日本海側に立地する発電所の放水口前面海域に設置した試験生け簀(右の写真)を用いて、温排水に対する大型魚の反応行動を調べました。下の図は生け簀の水温分布とブリの遊泳層を示しています。夏季は温排水を避けて昇温層より深い生け簀の中・下層を遊泳するのに対し、冬季は逆に表層の昇温層に引きつけられることがわかりました。現在、遡河性魚類のサケ(シロザケ)、サクラマスを対象に同様の調査を行っています。 写真:ガラス張りの水槽で縦方向に水温を表す目盛りがついています
温排水拡散域に設置した生け簀

グラフ:縦軸に水深、横軸に月日。夏季と冬季二つのグラフを配しています

温排水拡散域に設置した生け簀内の水温分布とブリの遊泳層(黒点)