(その70)

 前回、私がこの沿岸潮流の執筆を担当したのは8月の暑い盛りで、柏崎市にある自宅の窓の外には鈴なりにぶら下がるゴーヤが揺れていて、ゴーヤについて書こうと思い付いたのですが、2月のこの時期、市内はどこも雪で真っ白です。頭の中も真っ白のまま。とりあえず、雪、で始めたいと思います。
 雪が降るとこちらの暮らしは朝から一変します。柏崎市では雪が12cm以上降ると除雪車が出動し、人や車の通路を確保します。遠くの除雪車の音が次第に近づいて来て、いよいよ家の前を除雪する様子を未明の寝床の中でうとうとと聞いていると、除雪車の作業員の方々がとても頼もしく思われたりもします。ところが夜が明けて、家の前の道端に現れた雪の山を見ると、感謝の念は泡雪となって融け去り、文句たらたらで玄関先や駐車場前の雪山の撤去を始めます。ドカ雪が降った時など、一時間近くかけて雪と格闘しますので汗びっしょりになり、雪掻きが終わる頃にはもう一日の仕事が終わった気分です。
 したがって、春から秋にはほぼ毎朝、ペットの犬は飼い主の私に散歩に連れ出してもらっていたのを、今の時期は時々、きょうは散歩もう無理、と散歩省略の憂き目に遇います。そんな時、犬は散歩中に思いっきりしていた大小の処理を屋内に置かれたペット用トイレの上をくるくると回り、すまなそうな顔をしてすますのです。そこでおもしろいことに気がつきました。我が家ではペット用トイレを(ヒト用の)トイレの脇に置いているのですが、私がトイレから出た時に限ってペット用トイレが汚れているのです。散歩省略の朝ですと十中八九そうなります。つまり、犬はトイレに行く飼い主を後追し並んで用を足しているのです。これって、昔、学生時分よく酔っ払ってふらふらになりながら仲間と連れションしたっけ、の連れションですよね。以前、新聞で犬には飼い主のあくびがうつり易いという記事を読んだ覚えがあります。犬は主との共感力に優れているからだそうです。犬の連れションもこの共感力のなせる業なのでしょうか。もっとも犬の場合、大は小を兼ねるようで、トイレのドアを開けた途端にそれと遭遇しギョッとさせられることもしばしばです。
 外は一面の雪、の純白なイメージで書き始めたのですがかなり黄ばんできました。この辺で終わりにします。

実証試験場長堀田公明

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