水産物中の放射性物質の調査
 東電福島第一原子力発電所の事故に伴う水産物の安全性を調べるため、東日本の太平洋沿岸、沖合海域および陸水域における漁獲物などの放射性物質を測定し、その実態を把握しています。
     
■水産物の採取と放射性物質の測定
 水産物は、東日本各地の漁業協同組合、魚市場、国や県の研究機関などで採取、収集され、海生研に送付されます。海生研では、水産物の可食部(筋肉、肝臓、卵巣、精巣など)を分け取り、測定用試料を調製します。
 放射性物質の分析では、原子力規制委員会が取りまとめる放射能測定法シリーズの方法に従って、高純度ゲルマニウム半導体検出器を用いたガンマ線スペクトロメトリーにより、試料に含まれる放射性核種(ヨウ素-131、セシウム-134、セシウム-137)を測定し、試料1kg(湿重量)当たりの放射能(ベクレル/キログラム)を求めます。
 これらの測定結果は、水産物の採取日、場所などの情報を含め、水産庁、関係自治体、漁業関係団体などに少なくとも数日以内に報告しています。海生研のウェブサイトには、漁業関係団体分の結果を掲載しています。
https://www.kaiseiken.or.jp/radionuclide/index.html 参照)

東日本各地から送られてきた水産物


放射性核種の分析

水産物の採取から分析までの流れ(426MB)
 
■放射性物質の検出傾向
 漁業の操業を自粛している福島県を除く、主に東日本太平洋側で漁獲された水産物の放射能濃度や採取日、漁獲場所などのデータにより、水産物中の放射能濃度の空間的拡がりや時間推移などの解析を行っています。時間の経過とともに、基準値(100ベクレル/キログラム)を超える放射性セシウムが検出された海域は縮小し、事故から4年経過した2015(平成27)年度以降、基準値を超える放射性核種は検出されなくなりました。
 

 
放射性セシウム(>100ベクレル/キログラム)が検出された水産物*の漁獲位置の推移図
*漁業の操業を自粛している福島県の水産物は含まれない。